「積算気温追跡法」による桜の開花予想法
ホームページ桜前線研究所では、これまで、全国48の主要都市のソメイヨシノを対象として、2月1日(早咲きの「河津桜」、「玉縄桜」の場合は12月1日としている)を起点とする積算平均気温のグラフを毎日追跡しながら開花予想を2006年から2008年まで3年間に亘って行ってきました。
まもなく2009年の開花予想シーズンを迎えますが、これを機にこの予想方法に「積算気温追跡法」という名称をつけてみたいと思います。
この手法は必ずしも植物生理学的な裏づけがある訳ではなく、作物の生育・収量予測にもよく使われる従来からの知見・経験を利用した現象解析型の手法ですが、単純で分かりやすい方法であることから、誰にでも理解される方法であると思っています。また、追跡予想誤差もまずまずの範囲内に入っており、使い物にならないというようなことはないかなと思っています。
なお、桜前線研究所では、これと全く同じ考え方で「稲の出穂期予想」、「モミジの紅葉期予想」にも取り組んでいます。かつてはこのようなグラフを大量に描くことはとてもできなかったのですが、現在はパソコンと表計算ソフト(エクセル)の普及によりこのようなグラフが簡単に描け、しかもインターネットで提供できるようになってとてもありがたく思っています。
以下のレポートは2006年に書いてアップしていたものです。 (以上、2008年11月15日追記)
積算平均気温の推移と「ソメイヨシノ」の開花日予想チャートの見方について
2006年2月1日
桜前線研究所
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この図は、2月1日から開花日までの平均気温の積算気温を年次別、日別に示したものです。グラフには1996年から2005年まで10年間の積算気温と平年の積算気温、それに開花が一番遅かった1984年の積算気温が示されています。この中で、一番気温が低くて積算温度の上昇が遅かった1984年について見ると、2月1日から積算平均気温が上昇を始めたものの、非常にゆっくりと上昇をし、4月11日のところで折れ線グラフが止まり、やっとその日に開花日を迎えたことを示しています。従ってこのグラフから、早い時期からの積算気温の上昇の遅れが開花の遅れに繋がっていることがよく分かります。開花が一番早かった2002年について見ると、開花日は3月16日で、早い時期からの積算気温の上昇が著しかったことと開花直前の気温の上昇の二つの要因が、この年の開花の早さをもたらしたことが分かります。更に、このグラフから積算温度の上昇傾向は意外にしっかりとしており、3月上旬頃には、ほぼ積算気温の順位が決まり、このグラフの上に今年の積算気温を逐次書き足していくと、今年の桜の開花日は何時かという予測が出来るようになります。もし、あなたが積算気温を調べてこのグラフ上に書き入れたいときは、気象庁のホームページにアクセスしてみて下さい。
右上のところにあるピンク色の線は平均開花積算温度と凡例に示されているが、これは過年次の開花日を独立変数、積算気温を従属変数として求めた回帰線の理論値をグラフで示したものです。この線と各年次の2月1日を基点とする積算気温の交点する日が、理論的に予測される開花日であることを示しています。しかし、実際はこの線にたどり着く前に開花したり、この線をオーバーしてから開花したりする年があります。このことは、2月1日からの積算気温だけでは説明出来ていないことを示しています。これが毎年一致するような回帰式ができればよいのですが、そこは今の段階では解けていないのです。もし、桜が「休眠打破」され、開花へ向かって成長し始めた日が分かれば少しは予想精度が上がるかも知れませんが、それも難しいそうです。
しかし、いずれにしてもこのようなグラフを作成して春先の気温と開花日の関係を示すことは、小中学生にとっても大人にとっても科学的思考を育てるためのいい資料となるのではないかと思っているところです。このグラフが多くの人に活用されると大変うれしく思います。